無名一般人の雑記

備忘録というか記録みたいな

先日、久しぶりに二郎系を食べてきた。

二郎に関して俺はあまり明るい方ではない。というか、去年の今頃まで食ったこともなかったし、むしろ「見た目インパクト重視の虚飾した食い物、ああいうのが好きなのは田舎者か馬鹿だけだろう」と毛嫌いしていた。まあいまでもその偏見は抜けきったわけでないが、2,3度友人の付き合いで食べてみて、そこまで敵視するもんではないというか、わざわざ俺が怒る必要もないかな、みたいな、対等なライバルではなくなった感覚を覚えている。むしろ低山を登り終えたときに似た余裕というか、いびられてた女子に思い切ってビンタしたらすぐ泣きだした小6の5月みたいな虚しさと解釈していただけたらと思っております。

まあそんなことは置いといて、テストも終わったので普段食わないものでも食いたいな。そういえば近所に二郎系の店があるな、そう思って繰り出したのだった。

 

店の前まで来ると、例の油と醤油の混ざった熱く重い空気がダクトから漏れ出て空腹を刺激する。中を覗くとクソ狭い店内に脂ぎった中年が5,6人、カウンターに座っており、その間の1席だけ空いている状況。

仕方なくそこに座って待っていたのだが、明らかにカエシやチャーシューからではない匂いがする。例えるなら豚骨ラーメン屋の裏みたいな、皮脂に似た臭い。しかも厨房ではなく右隣から臭ってくる…そちらに目を向けると、100キロを優に超えたメガネデブが、麻雀動画を見ながら野菜が30センチぐらい乗ってる(多分)全マシマシをすすっていた。

うわー、と思いながら水をすすっていたら、店員が例によってトッピングを聞いてきた。

 

今考えると、俺は場の空気に完全に飲まれていたに違いない。そのとき、店内にいる7人のうち3人がマシマシを頼んでいた空気に。

「あ、全マシで」

 

 

流石にマシマシを頼む勇気はなかったが、全トッピング増しで頼んでしまった。頼んだことねえよ全マシ…

 

ビビりながら待っていると、山。山が出てきた。麓に刻みニンニク、辛揚げ、そしてもやしの頂上にアブラかけた山。もう出てきた時点でスープこぼれまくってる。地獄。

 

ここまで来たら食うしかねえーと決心して食い始める。

1口2口、10口食べてもまだもやししか食ってない。というか先に野菜を食べないとどう考えても丼からスープが決壊する。というがもうレンゲ2杯分くらい勝手に流れ出してる。5分ぐらいかけて大方の野菜を処理し、ついに麺が見えた。

二郎系において最大の敵をご存知だろうか。それは満腹感ではない。飽きである。

そう、麺が見えたこの時点でかなり飽きてきたのだった。玄人ならここで卵などトッピングを入れ味変するのだろうが、俺は保守派なのでトッピングによる満腹感の変化が怖くてあまり頼めなかった。それでもテーブルの上にある酢、カエシをちょっと入れてみたりして模索し、なんとか麺を食い切った。

あとは残りの野菜のカスを食べるだけ…そう思ってレンゲでスープをすくってみると、クソ重い。ちょっと野菜のカスが残ってるぐらいだと思ったのに、ガッツリ野菜炒め作れるぐらいの量入ってた。しかもスープを吸ってグズグズに膨張した辛揚げ入り。ガチのマジに吐きそうになりながら全部平らげて、店をあとにした。

 

思い出した。初めて二郎系に行った後の感覚を。あとに残るのは後悔だけのこの感触を。これがラーメン。宇宙。

(オチがない)